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ガス浸炭,浸炭窒化,低温浸炭窒化

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浸炭は自動車部品をはじめとする各種機械鉄鋼部品の強度特性向上に貢献しています。

 

「 ガス浸炭とは 」

日本の各グループ会社海外拠点で培われた豊富なノウハウで最適な処理をプロデュースします。

炉内のCO、N2、H2を主成分とする吸熱型変成ガス(RXガス)に、ブタン・プロパン等のエンリッチガスを添加した雰囲気中で、鉄鋼材料を900~940℃程度まで加熱し、材料表面に炭素を浸入させて浸炭し、その後降温焼入して硬化させる処理です。

加工性のよい低炭素鋼、低炭素低合金鋼を機械加工し部品形状に成形した後で、表面に硬く強靭な浸炭硬化層を生成することができます。

また、処理品の内部は適度に柔軟な組織であるため、部品全体としては高い靱性による耐衝撃強度を確保しつつ、表面は高い硬さを得ることができますので、耐摩耗性と耐疲れ強さに優れており、通常は相反する「靱性と硬さ」を両立させることができ、自動車部品、オートバイ部品をはじめ、各種の機械部品に広く応用され、最も普及している表面熱処理法です。

窒化熱処理と大きく異なる点は、鉄の変態点温度以上に加熱し、処理工程に熱処理の代表手法である焼入焼戻しが加わることにあります。

当社はバッチ型とミニ連続型の二種のガス浸炭炉を保有しています。

バッチ炉では、数十分の短時間処理から十時間以上の長時間処理まで幅広い条件に対応、また浸炭窒化・低温浸炭窒化・防炭(浸炭防止剤による部分的浸炭防止)・高温焼戻し等の、特殊浸炭処理にも対応できる体制を整えています。

一方ミニ連続炉では、バッチ炉の約2.5倍という効率的な生産能力を生かし、同一条件の大量受注品に対応しており、連続炉ならではの低コストと安定した品質を実現します。

 

「 ガス浸炭の一例 」

図1は、炭素量0.2%の合金鋼(肌焼き鋼)にガス浸炭焼入焼戻しを行った際の、浸炭層の金属組織です。

浸炭層は、微細マルテンサイトの素地に残留オーステナイト量約10~15%程度の均一な浸炭焼入層を形成しています。

図2のグラフは浸炭硬化層の断面硬さ分布ですが、表層付近はHV800と高い硬さを確保し、全硬化層深さは約0.9mm程度得られています。

表面硬さと硬化層深さは、ご要望に応じて、熱処理条件による調整が可能です。

軟窒化処理と比べて優れている点として、高い硬さの硬化層をより深くまで形成できますので、より高い強度が必要な部品に有利となります。

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特性

1.適用鋼種:肌焼き鋼(SCM・SCr・SNCM等の低炭素合金鋼)

2.厚い表面硬化層を得ることができ、内部も高い靱性を確保できます

3.硬化層深さ・表面硬さは、ご要望に応じて調整が可能です

4.内部硬さや部品形状によって、数種類の焼入油が選択できます

5.表面は薄いグレー色の平滑な仕上がりです(低温焼戻しの場合)

6.耐摩耗性、耐衝撃強度、耐疲れ強さを向上させます
 

「 浸炭窒化とは 」

非合金鋼の強度を高め、鉄鋼熱処理の可能性を広げます。

浸炭窒化(浸炭浸窒ともいいます)は、通常のガス浸炭よりも低い800~880℃程度の温度で鋼の表面に炭素と窒素を同時浸入させ、その後焼入して硬化させる処理です。

ガス浸炭窒化は、通常のガス浸炭雰囲気にNH₃ガスを添加し、NH₃から分解したN成分により、窒化と浸炭が同時に行われます。

窒化により焼入性が向上するため、ガス浸炭では適用できないSPCC、低炭素鋼等の非合金鋼の処理が可能になり、材料コストの低減も大きなメリットになります。

またガス浸炭よりも低い温度で焼入できることから、熱処理による変形や歪も低減できます。

 

「 低温浸炭窒化 」

超薄肉プレス部品等への浸炭窒化において、更なる熱処理歪低減のニーズにお応えするために、グループ会社である浜松熱処理工業で確立された雰囲気制御手法により750℃近辺まで処理温度を引き下げ、安定的な超浅浸炭と焼入歪の大幅な低減を可能にした、低温浸炭窒化処理も行っています。


合金鋼の浸炭特性もさらに向上させます。

合金鋼に浸炭窒化を行うことにより、今までのガス浸炭で問題であった表層部の不完全焼入れ層が均一な焼入れ組織(マルテンサイト)となるため、表層部の硬度低下を抑制することが可能になりました。

また、浸入した窒素により、部品が高温下にさらされた時の硬さ低下(熱なまり)が抑えられる効果も付与されます。

最近では、合金鋼の浸炭歯車に代表される、動力伝達部品の接触面での耐ピッチング性や耐摩耗性など、接触疲れ強さの向上を目的に浸炭窒化処理が採用されています。

 

特性

1.適用鋼種:低炭素鋼(SP材、SS材、S10C等の低炭素鋼)、肌焼き鋼(SCM・SCr・SNCM等の低炭素合金鋼)

2.低い温度で焼入が可能となりますので、焼入れ変形が減少します。(肌焼き鋼は除く)

3.窒素の影響により焼入れ性が良くなるため、炭素鋼でも焼入れが容易になり、焼割れの面でも有利になります。

4.ガス浸炭に比べ、最表面の焼入異常層が抑制され、均一な硬化層を生成できます。

5.ガス浸炭に比べ、焼戻し軟化抵抗性が向上します。


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連続式浸炭炉(第二工場)

 

処理工程

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処理できるスケール

660W×1230L×720H(バッチ炉)第一工場

760W×615L×720H(連続炉)第二工場

 

具体的な製品例

輸送機械のエンジン・変速機・デファレンシャル等動力部を中心とした機械部品

(ミッションギヤ/シャフト類、CVTプーリー、ファイナルギヤ等)

 

低温浸炭窒化

「 低温浸炭窒化処理とは  

低温浸炭窒化は、主に薄板材のプレス部品に対して、低歪み・高硬度化を実現した熱処理です。通常の浸炭窒化よりも低い730~820℃で有効的に炭素と窒素を浸入拡散できるグループ独自の雰囲気制御プロセスを確立したことにより、通常よりも50℃以上低温で浸炭窒化処理を行い、またFe-C系平衡図A1変態点温度以下での焼入れが可能となりました。

これにより、表層部に0.05~0.1mm程度の浅く高硬度なマルテンサイト硬化層を生成します。

ガスまたは塩浴軟窒化処理よりも硬さが高くかつ深い硬化層を得つつも、通常の浸炭窒化よりも大幅に変形・変寸を低減することができます。


「 低温浸炭窒化処理の一例  

低温浸炭窒化の 1.組織写真 2.硬さ分布のグラフ を紹介します。

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表層部はマルテンサイト組織が析出され高い硬さを有し、内部0.1mm深さからフェライト組織のままで変態しないため、硬度差(急勾配)により、変形が少なくなります。

歪み量は通常の浸炭窒化に比べて低温浸炭窒化は1/3以下に抑えられます。

 

「 低温浸炭窒化処理の特徴  

● 熱ひずみの低減による変形・寸法【変化量】の減少

● 耐摩耗性・面圧強度の向上 及び 耐かじり性の改善

● 表面の圧縮により、疲れ強さの向上

 

『浜松熱処理工業株式会社HPを引用』